食材と体調

ヤクルトで免疫アップは本当?腸から整える“現代の発酵薬膳”

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「ヤクルトを飲むと免疫力が上がる」
そんなCM、きっと一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

実はこのキャッチコピー、単なる宣伝ではなく“中医学(薬膳)”の考え方とも深くつながっています。

この記事では、
臨床検査技師+薬膳マイスターの視点から、
ヤクルトの免疫メカニズムと薬膳的な意味をわかりやすく解説します。

ヤクルトが免疫を高める理由

ヤクルトに含まれる「乳酸菌シロタ株(L. casei Shirota)」には、
腸内環境を整えることで免疫細胞を活性化する作用があると報告されています。

🔹主なエビデンスとしては以下の通り:

  • **ナチュラルキラー細胞(NK細胞)**を活性化し、ウイルスに対する防御反応を強化
    → 感染予防・風邪の発症率低下に寄与
  • **唾液中IgA(免疫抗体)**を増やし、口・鼻・喉などの粘膜防御をサポート
    → インフルエンザ予防の補助効果も
  • 腸内細菌叢を改善し、**腸管免疫(全身免疫の約7割)**を底上げする

これらの研究結果は、ヤクルト中央研究所や国内大学との共同研究でも発表されています。
つまり、科学的にも「免疫を支える腸の健康に寄与する」ことが示されているのです。

薬膳で見るとヤクルトは“脾を整える発酵食”

薬膳で言う「脾」は、食べ物を“気(エネルギー)”や“血(栄養)”に変える働きを持つ臓腑。
現代医学で言えば「消化吸収・免疫の司令塔」であり、まさに腸と同じ役割です。

つまり、薬膳的に見ると――

ヤクルトは「脾を助け、腸を潤す食材」=現代の“発酵薬膳” といえます。

ヤクルトの薬膳的分類

分類内容
五性(温・寒・平)平性(どちらにも偏らない)
五味甘+やや酸
帰経脾・胃・肺・腸
主な効能健脾・潤燥・補気・調中

乳酸菌と発酵によって、
「脾胃を温めず冷やさず」「腸の動きをなめらかに整える」働きを持っています。

ヤクルトと似ている薬膳食材

薬膳的に見ると、ヤクルトに近い性質をもつのは次のような食材です。

食材共通点効能
なつめ(棗)甘味で脾を補い、疲れを癒す補気・補血・安神
はちみつ潤いを与え、腸を整える潤燥・通便
ヨーグルト発酵で腸を整える健脾・潤腸
豆乳胃腸を助ける穏やかな甘味補気・潤燥

これらの性質から、ヤクルトは、

「なつめ+はちみつ+ヨーグルト」を一滴にしたような、“飲む薬膳”
とも言えます。

飲み方で変わる!薬膳的おすすめの摂り方

薬膳では「冷たいものは脾を傷つける」とされます。
ヤクルトも冷蔵庫から出してすぐ飲むより、常温に戻してから飲むのがおすすめです。

飲み方のコツ

  1. 朝食後または夕食後
     → 胃腸が動いている時間帯に乳酸菌が定着しやすい
  2. 40℃以下のぬるめで飲む
     → 乳酸菌を生かしつつ、脾を冷やさない
  3. 空腹時は避ける
     → 胃酸が強く、菌が死滅しやすいため

💡薬膳的には「温養脾胃(おんようひい)」の考えが重要。
冷やさず、やさしく整えることが免疫アップの鍵です。

薬膳的に見た「ヤクルトの効能」まとめ

効果現代医学的根拠薬膳的意味
腸内環境を整える乳酸菌が善玉菌を増やす脾を助け、気血を巡らせる
免疫を高めるNK細胞・IgA抗体を活性化外邪(ウイルス)を防ぐ衛気を強化
ストレス軽減腸脳相関による自律神経調整心と脾のバランスを整える
便通改善腸内フローラ改善潤燥・通便効果

つまり、「腸を整える=免疫を整える」=脾を養うという薬膳の理論と、
ヤクルトの機能性は見事に一致しています。

まとめ:ヤクルトは“現代の薬膳ドリンク”

ヤクルトは単なる乳酸菌飲料ではなく、
薬膳的に見ても脾胃を整え、体の防御力(衛気)を高める飲み物

「腸から整える=体全体の気を整える」
これはまさに、薬膳が目指す「未病を防ぐ」養生そのものです。

CMで言う「免疫を高める」という言葉は、
科学的にも、薬膳的にも「腸を整えること=体を守る力を育てる」という意味で真実です。

忙しい日々の中でも、**1日1本のヤクルトが“ゆるい薬膳習慣”**になります。

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検査技師の薬膳マイスター ともか
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臨床検査技師・薬膳マイスター
臨床検査技師としての経験を活かし、体のデータや体質から不調の原因を読み解き、日常に取り入れやすい薬膳や漢方の知識をお届けしています。 忙しい女性や体調に悩む方に、「おうちでできるやさしい養生」のヒントを発信中。
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