急に寒くなった今食べたい「芯から温める薬膳」レシピ
最近、急に寒くなってきました
気温が10度近く下がると、体がびっくりして“冷え疲れ”を起こしやすくなります
薬膳ではこの時期を「養陽(ようよう)」――つまり、“体の陽気(エネルギー)を温めて守る季節”と考えます
今回は、簡単に手に入る食材で作れる
体を芯から温めて巡りを整える薬膳レシピを3品ご紹介します
生姜と鶏肉の温活スープ🍲

寒暖差で冷えた体を、内側からやさしく温めてくれる定番の“養陽スープ”です
このスープは、冷え対策の基本である「温める・巡らせる・補う」をすべて兼ね備えた万能レシピ
生姜の香りが立ち上る湯気の中で、
鶏肉のうまみとねぎの甘みがじんわり体に染みわたります
材料(2人分) 所要時間 15分
- 鶏もも肉…200g
- 生姜(スライス)…1片
- 白ねぎ(斜め切り)…1/2本
- にんじん…1/2本
- しいたけ…2枚
- ごま油…小さじ1
- 水(またはだし汁)…400ml
- 塩・しょうゆ…各少々
作り方
1️⃣ 鶏肉を一口大に切り、軽く塩をふる
2️⃣ 鍋にごま油を熱し、生姜とねぎを炒めて香りを立てる
3️⃣ 鶏肉を加えて焼き色をつけ、にんじん・しいたけ・水を入れる
4️⃣ 15分ほど煮込み、塩としょうゆで味を整える
💡ポイント:黒こしょうを少し加えると温性がさらにUP!
🔥このスープの総合的な薬膳効果
① 冷え対策(温陽・散寒)
生姜・ねぎ・鶏肉の組み合わせは「温陽三兄弟」
血行を促進し、手足や内臓の冷えを改善します
特に冷え性・月経痛・寒がり体質の方におすすめ
② 代謝アップ・疲労回復(補気・益血)
鶏肉が“気”を補い、生姜が“巡らせる”ことで、エネルギー代謝が活発に
だるさや肩こり、冷えによる眠気の改善にも◎
③ 胃腸を整える(健脾・和胃)
温かいスープとごま油が“脾(胃腸)”を守り、消化吸収をサポート
寒さで弱りがちな胃をやさしくケアします
④ 免疫力アップ(扶正・解表)
しいたけやねぎの抗ウイルス・抗菌作用が、風邪・感染症の予防
さらに生姜の抗炎症作用で、喉の違和感や鼻づまりにも効果的です
黒豆とくるみの温活おかゆ

朝にぴったりの、やさしい“温めおかゆ”
冷たい空気で体がこわばる朝
そんな時こそ、ゆっくりと湯気が立ちのぼるおかゆで、
体の奥から温めて一日をスタートさせましょう
このおかゆは、「温める」「潤す」「整える」をすべて兼ね備えた“朝の養生食”
黒豆のコクとくるみの香ばしさ、なつめのほのかな甘みがやさしく溶け合い、
食べるたびに“血”と“気”が巡り出すような温もりを感じられます
🍵材料(2人分) 所要時間 30分
- 米…1/2合
- 黒豆(またはゆで黒豆)…大さじ2
- くるみ(砕く)…2粒
- なつめ(輪切り)…2個
- 水…500ml
- 塩…少々
👩🍳作り方
1️⃣ 材料をすべて鍋に入れ、中火で煮る
2️⃣ 沸騰したら弱火にし、30分ほどコトコト煮込む
3️⃣ おかゆ状になったら塩で味を整える
💡ポイント:
黒豆は軽く炒ってから煮ると香ばしさが増し、消化も良くなります
🔥このおかゆの総合的な薬膳効果
① 冷え対策(温陽・活血)
くるみの温性と黒豆の血行促進作用で、体の芯からじんわり温めます
特に手足の冷え・月経痛・冬のむくみに効果的
② ホルモンバランスの調整(補腎・養血)
黒豆は“腎”を補い、女性ホルモンの働きを整える食材
なつめと組み合わせることで、更年期や生理周期の乱れにもやさしく作用します
③ 美肌・美髪ケア(潤肺・養血)
なつめとくるみの潤い成分が、乾燥しやすい季節の肌や髪をサポート
血の巡りが改善することで、くすみ・乾燥・抜け毛対策にも◎
④ 朝の胃腸リセット(健脾・和胃)
温かいおかゆが胃腸をやさしく温め、冷えやストレスで滞った消化機能をリセット
朝に食べることで、1日のエネルギー代謝を高める働きがあります
シナモン&黒糖ミルクティー

夜にぴったりの、やさしい“温めドリンク”🌙
一日の終わり、冷えた体と心をゆるめたい夜
そんな時におすすめなのが、シナモンと黒糖の香りがふんわり漂う“温活ミルクティー”
このドリンクは、「温める」「巡らせる」「癒す」を同時に叶える“夜の養生ドリンク”
やさしい甘みとスパイスの香りが、体の芯まで届いて一日の疲れをそっとほぐしてくれます
🍶材料(1人分) 所要時間 5分
- 紅茶(ストレート)…150ml
- 牛乳または豆乳…100ml
- シナモンパウダー…少々
- 黒糖…小さじ1
👩🍳作り方
1️⃣ 紅茶を淹れ、温めたミルクを加える
2️⃣ シナモンと黒糖を加えてよく混ぜる
💡ポイント:
豆乳を使うと“潤い”が増し、乾燥やのぼせ体質の方に◎
スパイスが苦手な方は、ほんのひとふりから始めてOKです
🔥このドリンクの総合的な薬膳効果
① 冷え対策(温陽・活血)
シナモンは代表的な“温めスパイス”。
体を芯から温め、血行を促し、手足の冷えを改善します。
特に冷え性・肩こり・末端の冷たさにおすすめ。
② 疲労回復・リラックス(補気・養心)
黒糖は“血を補う”甘味。
体と心をゆるめ、ストレスや疲労で乱れた自律神経を整えます。
寝る前に飲むことで副交感神経が優位になり、深い眠りをサポート。
③ 潤い補給(潤肺・健脾)
牛乳や豆乳は“陰”を補い、体の乾きを癒す潤い食材。
乾燥による喉の痛みや肌のカサつきをやわらげます。
薬膳では“冬の乾き対策”にもぴったりの組み合わせ。
④ 安眠・自律神経ケア(養心・安神)
シナモンの香りとミルクのまろやかさには鎮静作用があり、
寝る前に飲むことで心拍・体温が安定し、睡眠の質が向上。
“体を温めながら、心を休める”理想のナイトドリンクです。
臨床検査技師が見る3品の数値的分析
| レシピ | 主な効果領域 | 改善が期待される検査項目 | 数値変化のメカニズム |
|---|---|---|---|
| 🥣 生姜と鶏肉の温活スープ | 代謝促進・抗炎症・免疫調整 | LDL・中性脂肪(TG)↓CRP(炎症)↓白血球分画バランス改善 | 鶏肉の良質タンパクと生姜のショウガオールが代謝酵素活性を高め、脂質の酸化を抑制。しいたけのβグルカンが免疫系を整え、慢性炎症(CRP上昇傾向)を軽減。 |
| 🍚 黒豆とくるみの温活おかゆ | ホルモンバランス・造血・循環改善 | Hb・Ht・RBC上昇傾向LDL安定CRP軽度低下 | 黒豆のアントシアニンと鉄分が造血を促進。くるみのオメガ3脂肪酸が脂質代謝を改善。なつめのサポニンが抗ストレス作用を持ち、副腎疲労を予防。 |
| ☕️ シナモン&黒糖ミルクティー | 自律神経・血流・睡眠の質改善 | 血圧安定(特に低血圧改善)HbA1c安定化コルチゾール正常化 | シナモンのシンナムアルデヒドが末梢血管を拡張し血流促進。黒糖がブドウ糖を穏やかに供給し、血糖の変動を抑える。夜に飲むことで副交感神経が優位になり、睡眠の質向上→翌朝のコルチゾール過剰分泌を防ぐ。 |
【参照】
・生姜抽出物の経口摂取が冷え性の人のエネルギー消費等に及ぼす効果*
・シナモンの効果・効能とは?美容・健康に役立つ簡単ドリンク
・ショウガ中の 6-ジンゲロールの加熱調理による変化
まとめ:食で「温める力」を取り戻す季節に
急な冷え込みで体がこわばる今の季節。
薬膳で大切なのは、体の中の“陽気(エネルギー)”を守ることです。
今回ご紹介した3つの温活レシピ——
- 朝のスタートを整える「黒豆とくるみの温活おかゆ」
- 日中の冷えを和らげる「生姜と鶏肉の温活スープ」
- 夜に心身をほぐす「シナモン&黒糖ミルクティー」
この“朝・昼・夜”のバランスが、
1日の体温リズムとホルモンバランスをやさしく整えます。

