【薬膳で整える】インフルエンザに負けない体づくり|肺・脾胃・腎を守る3つのケア
季節は秋から冬へ――。
気温の低下や乾燥、寒暖差によって、体の「防御力」が落ちやすくなる時期です。
子どもの学校でもインフルエンザが流行しており、人ごとではなくなりました。
幸いなことに子どもたちは感染しておりませんが、対策せずに放置するのは大変危険。
全国的にインフルエンザの流行が高まる今こそ、
臨床検査技師×薬膳マイスターが伝える、
「体質を整える」「内側から整える」対策を試してみてください。
なぜ “肺・脾胃・腎” が重要なのか
中医学では、インフルエンザのような発熱・筋肉痛・全身倦怠感を伴う病気は
「外邪(がいじゃ)=ウイルス」 が体に侵入した結果と考えられます。
その外邪を防ぐ防衛ラインとなるのが、肺・脾胃・腎の3つの臓腑です。
| 臓腑 | 働き(中医学的) | 弱ったときの症状 | ケアの方向性 |
|---|---|---|---|
| 肺 | 呼吸・皮膚・鼻・喉を通じて「気」を巡らせ、外邪を防ぐ | 咳・鼻水・乾燥・肌荒れ | 潤いと温めで守る |
| 脾胃 | 食べた物を「気・血・水」に変える消化吸収の中心 | だるい・食欲不振・冷え | 胃腸を温めて強化 |
| 腎 | 生命エネルギーの貯蔵庫。免疫力・体温・ホルモン調整にも関与 | 冷え・腰のだるさ・疲労感 | 温め+滋養で根本強化 |
参考文献・根拠:日本東洋医学会「五臓」
食材選び:具体的な薬膳食材とその働き
以下、各臓腑ごとに「摂り入れたい食材」を整理します。
肺を養う食材
寒さ・乾燥・冷気の影響を受けやすい肺。外邪侵入の第一防線を強化しましょう。
例:ねぎ、生姜、しそ、白菜、大根、白ごま、蜂蜜、皮つきの豚肉
特に生姜やねぎは「辛味」の食材として、風邪・ウイルス対策では定番です。
脾胃を養う食材
胃腸の消化・吸収力を高めることで、全身の栄養と“気”を補えます。
例:山芋、大豆、かぼちゃ、生姜、もやし、バナナ、イチジク
例えば、かぼちゃ・人参・山芋などは“気を補う”食材として、秋冬の養生にもおすすめです。
腎を養う食材
“底力”を養い、免疫力を強化するための土台食材です。
例:黒ごま、くるみ、クコの実、山芋、羊肉、海老、なまこ
手軽にできる薬膳メニュー
生姜・鶏肉の薬膳スープ(2人分)

冷えやだるさを感じやすい季節にぴったり。
身体を芯から温めてくれる、やさしい味わいの薬膳スープです。
🧂 材料
- 手羽元(または鶏むね・もも)…4〜5本
- 生姜…親指大2個(スライス+すりおろし)
- 白ネギ…½本+青い部分1本
- 紫蘇…5枚(千切り)
- クコの実…10粒(戻しておく)
- 鶏がらスープ…大さじ1
- 料理酒…大さじ1
- 水…600mL
- 塩…小さじ½
- 胡椒…少々
作り方
- 下ゆで(臭み取り)
鍋に手羽元とひたひたの水を入れ、弱火〜中火で15分ほどゆでて灰汁を取ります。 - スープ作り
別の鍋に手羽元・生姜スライス・白ネギ・青ネギ・水600mLを入れて中火にかけます。
沸騰したら鶏がらスープと料理酒を加え、弱火で15分ほど煮込みます。 - 仕上げ
塩・胡椒で味を整え、クコの実を加えて火を止めます。
器に盛り、仕上げに千切り紫蘇を添えたら完成です。
ねぎ・生姜入りおかゆ風薬膳粥(2人分)

体調を崩しやすい季節にぴったり。
胃腸にやさしく、体をじんわり温めてくれる風邪・インフル予防にもおすすめのおかゆです。
🧂 材料
- 玄米または白米…½合
- 水…お米の倍量(約400〜500mL)
- だし…鶏がらスープまたは昆布だし
- 生姜…少々(すりおろし)
- 白ネギ…たっぷり(小口切り)
- 山芋…適量(すりおろすか角切り)
- 白ごま…少々
作り方
- おかゆを炊く
鍋にお米・水・だしを入れ、中火で沸騰させます。
沸いたら弱火にして、30分ほどコトコト煮ておかゆ状にします。 - 香りと温かみをプラス
火を止める直前に、すりおろした生姜と刻みねぎを加えて軽く混ぜます。 - 仕上げ
器に盛り、山芋と白ごまをのせたら完成。
お好みで塩をほんの少し加えても◎。
生活習慣+環境面も忘れずに
薬膳だけではなく、インフルエンザ対策としては以下の習慣も重要です。
・外出後・人混み帰宅後の手洗い・うがい・マスク着用。
・睡眠を十分にとり、ストレスをためない。腎・肝の機能低下を防ぐ。
・室内の湿度を50~60%程度に保つ。乾燥が肺の防御力を下げます。
・身体を冷やさない服装・環境。特に秋の冷え込み・朝晩の気温差に注意。
まとめ:薬膳視点でインフルから守る体質づくり
インフルエンザを“かからない”ようにするためには、ウイルス対策だけでなく、身体そのものの防御力を高めることが肝心です。
中医学では「肺・脾胃・腎」を整えることで、身体を守る“気”が充実し、外邪を跳ね返しやすくなります。本文でご紹介した薬膳食材・レシピ・習慣を日常に取り入れることで、流行期を迎える今、家族・自身の体調を守る強い味方になります。
食卓に「ねぎ・生姜・クコの実・山芋・かぼちゃ」などが並ぶように意識して、温かい薬膳スープやおかゆを一品加えるだけでも、違いを感じられるはず。
寒さ・乾燥・ウイルスという“三重”のリスクに備えて、ぜひ今日から実践してみてください。

