ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』に見る“癒しの薬膳ごはん”
ドラマを見て気づいた、「劇中のご飯、薬膳的にすごい」
TBSドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。
原作漫画を見ていたので、ドラマ化も楽しみにしておりました。竹内涼真さんの役がはまり役すぎて、どんどん引き込まれていきました。
物語の中の料理が重要な役割を果たしているのですが、
「あれ?この料理、薬膳的にも優れているのでは?」
こう感じました。
10月14日に放送されたドラマの中で登場した「筑前煮」や「筑前煮カレー」を
薬膳と検査の両面から解剖してみたいと思います。
筑前煮は“心を落ち着ける薬膳”

筑前煮は、鶏肉・ごぼう・れんこん・人参・こんにゃく・しいたけなど、
根菜を中心とした煮物料理。
薬膳の基本である「五性(温・熱・平・涼・寒)」のうち、筑前煮は全体的に“温性”の料理です。
| 食材 | 性質 | 効能 |
|---|---|---|
| ごぼう | 温性 | 血流促進・便通改善・気の巡りを整える |
| れんこん | 平性 | 肺や胃の粘膜を潤す・血の滞りを防ぐ |
| 鶏肉 | 温性 | 体を温める・疲労回復・気を補う |
| にんじん | 平性 | 血を養い、目や肌を潤す |
| しいたけ | 平性 | 免疫力UP・コレステロール低下 |
| こんにゃく | 涼性 | 老廃物の排出を助ける・整腸作用 |
これらの組み合わせは、
「冷え性」「疲労」「むくみ」「肌荒れ」といった女性の不調にぴったりです。
つまり筑前煮は、“体を温めながら巡りを整える薬膳”なのです。
筑前煮カレーでパワーアップ!スパイスの相乗効果
ドラマでは、筑前煮をアレンジして“カレーライス”にする場面が印象的でした。
普通合わないと思いますよね?
この発想、実は薬膳的にも大正解なんです。
カレーに使われる代表的なスパイス――
ターメリック、クミン、コリアンダー、シナモン、そして唐辛子。
これらはすべて“温性”または“熱性”の性質を持ち、体を温め、血流を促進する働きがあります。
薬膳的に見ると、筑前煮カレーは
「温+温=代謝を上げる黄金コンビ」。
特にターメリック(ウコン)には肝臓の解毒作用、
カプサイシン(唐辛子)には脂肪燃焼促進効果があり、
寒い季節や疲労が溜まりやすい時期に最適な食事といえます。
筑前煮カレーレシピ
材料(4人分想定)
- 鶏もも肉:300 g
- ごぼう:1本(約200 g)
- れんこん:200 g
- にんじん:1本
- しいたけ:4〜6枚
- こんにゃく:1枚
- トマト缶(カットタイプ):1/2缶
- 水:200~300ml
- カレールー:4皿分(市販)
- 牛乳:100ml程度
- きぬさや(飾り用):適量
- 油・塩・こしょう:適量
- 生姜・白ネギ(香味野菜として):少々
作り方ステップ

鶏肉は一口大に切り、塩・こしょうを軽く振っておく

ごぼうは皮をこそげて乱切り、れんこんは厚めの輪切りまたは半月切り、にんじんは乱切り、しいたけは軸を取り半分に割る。こんにゃくは一口大に切って下ゆで(アク抜き)しておく

鍋に油を熱し、生姜・白ネギを炒め、香りが立ったら鶏肉を加えて表面を焼く

鶏肉の色が変わったら、ごぼう・れんこん・にんじん・しいたけ・こんにゃくを入れて全体に油が回るように炒める

トマト缶、水を加えて具材がひたひたになる程度にし、弱〜中火で煮込む(15〜20分程度)

煮込みが進んだらカレールーを入れ、ルーが溶けたら牛乳を加えてクリーミーに仕上げる

器にご飯を盛り、上からカレーをかける。茹でたきぬさやを彩りとして添えて完成。
薬膳&栄養面でのポイント
- 根菜(ごぼう・れんこん・にんじん)は「体を温め巡りを良くする」食材。薬膳的には“温性〜平性”。
- 鶏肉はたんぱく質源で、体を温め「気」を補う役割も。
- トマト+牛乳の組み合わせで酸味・まろやかさをプラスし、味わいだけでなく栄養バランスもアップ。
- カレースパイスに含まれるクミン・ターメリック・唐辛子などが代謝を促すため、寒い季節にぴったり。
- 全体的に「低糖質・根菜+肉+スパイス」という構成なので、血糖の急上昇を抑えながら満足感も得られます。
ワンポイントアレンジ
- こんにゃくを「糸こんにゃく+しらたき」に替えることでさらに糖質カット可能。
- 牛乳を豆乳やココナッツミルクに変えると“乳製品が苦手”な方にも。
- スパイス量を少しずつ増して“温め+代謝”を意識。体が冷えやすい時期に◎。
臨床検査技師が見る「数値で整う」筑前煮カレー
薬膳的には「気・血・水の巡り」を整える料理。
検査データ的にも、実は理にかなっています。
| 検査項目 | 期待される変化 | 理由 |
|---|---|---|
| LDLコレステロール | 低下傾向 | ごぼう・しいたけの食物繊維が脂質吸収を抑制 |
| 中性脂肪 | 低下 | 根菜と鶏肉の低脂肪構成+スパイスの代謝促進 |
| CRP(炎症反応) | 改善傾向 | 抗酸化ビタミンA・E、ターメリックの抗炎症作用 |
| HbA1c(血糖) | 安定 | 根菜の食物繊維で血糖上昇を緩やかに |
| AST・ALT(肝機能) | 改善傾向 | ターメリックが肝臓の解毒をサポート |
つまり、筑前煮カレーは“体を温めながら血液を整える”理想的な薬膳食なのです。
まとめ:冬の食卓に、“火曜22時の癒し”を
筑前煮やカレーのように、
「体を温め、血を巡らせ、心を落ち着ける料理」は、
寒さが深まる冬ほど、私たちに必要な栄養と安らぎをくれます。
TBSドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(毎週火曜22時放送)は、
料理を作ってくれる大切な人に優しくなれるドラマだと思います。
薬膳の世界でも、“作ること=癒すこと”という考え方があります。
食材を選び、火を入れ、香りを感じながら調理する行為そのものが、
気(エネルギー)の流れを整える「内なるヒーリング」になるのです。
ドラマに登場する料理を作って、ドラマの話をしながら家族団欒してみたらいかがでしょうか。

