季節の薬膳

🍊柿は秋の万能果物。体を整え、美を支える「天然の薬膳」

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秋の訪れとともに目にすることが多くなる「柿」。
実はこの果物、薬膳的にも栄養学的にも“万能”な果物なんです。
昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるほど、
健康を守るための栄養がぎゅっと詰まっています。

🍂 柿は「体を冷やし、余分な熱を取る」薬膳果

薬膳的に、柿は寒・味=甘・渋に分類されます。
つまり「体の熱を冷まし、余分な炎症やほてりを鎮める」働きがある果物。

✔ こんな人におすすめ

  • 顔が赤くなりやすい、のぼせやすい
  • お酒をよく飲む
  • 口が渇きやすい、喉が痛い

柿に多く含まれる「タンニン」はアルコールの分解を助けるとされ、
二日酔い予防や肝臓のケアにも役立ちます。
まさに“秋の養生フルーツ”です。

🍃タンニンとは?

1. 植物がもつ“天然のポリフェノール”

タンニンとは、植物に含まれるポリフェノールの一種です。
木の皮や葉、果実などに多く含まれ、渋み成分の正体でもあります。

特に柿・お茶・赤ワイン・渋柿などに多く含まれており、
酸化や腐敗から植物を守る抗酸化物質として働いています。

2. タンニンが感じさせる「渋み」の正体

口の中で渋みを感じるのは、タンニンが唾液中のたんぱく質と結合するから。
これにより粘膜が収縮し、口の中がキュッとするような感覚になります。

この性質を「収れん作用(しゅうれん)」といい、
実はこの作用が人の体にもプラスに働くことがあります。

現代栄養学でも納得の「万能さ」

柿が“万能な果物”と呼ばれる理由は、「タンニン」をはじめとする含まれている成分が
薬膳の世界だけでなく現代栄養学でも理にかなっているからです。

● タンニン:血液を整え、体を守る渋み成分

① 抗酸化作用

体内で発生する活性酸素を除去し、肌や血管の老化を防止。
紫外線ダメージやストレスによる酸化を抑えるため、
美肌やアンチエイジングに役立ちます。

② 血流改善・コレステロール低下

タンニンは悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぎ、
血液をサラサラに保ちます。
動脈硬化の予防や冷えの改善にもつながる働きです。

③ 抗菌・抗ウイルス作用

柿から抽出された「柿タンニン(カキタンニン)」は、
細菌やウイルスの繁殖を抑える作用が報告されています。
そのため、最近ではマスク・消臭剤・抗菌素材などにも利用されています。

④ アルコール代謝のサポート

タンニンは、アルコールの代謝過程で生じる
「アセトアルデヒド」という有害物質を吸着・排出する作用があります。
飲酒後に柿を食べると二日酔いが軽くなるのは、この働きによるものです。

● 食物繊維:腸内環境をリセット

柿100g中には約1.6gの食物繊維が含まれます。
腸を刺激して便通を促進し、老廃物の排出をサポート。
腸が整うことで、肌のくすみや吹き出物の改善にもつながります。

● カリウム:むくみを解消

柿に多いカリウムは、塩分(ナトリウム)の排出を促し、
体の水分バランスを調整します。
その結果、むくみ・だるさ・血圧の上昇を防ぐ働きがあります。

● ビタミンCとβカロテン

柿1個で1日の推奨量の約7割のビタミンCが摂取でき、
免疫力UP・美白効果・コラーゲン生成をサポート。
さらにβカロテンが体内でビタミンAに変わり、
粘膜や肌の健康を守ります。

ダイエット中でも食べてOK?

「甘いから太りそう…」と思われがちな柿ですが、
実は1個(145g)で約91kcal・糖質20g前後と控えめ。
お菓子の代わりに食べれば、満足感を得ながらカロリーを抑えられます。

ただし注意したいのは「干し柿」。
水分が減って糖質が凝縮されるため、
1個で約137kcal・糖質28gと生柿の1.5倍以上になります。

美容・健康目的なら、
生柿を1日1個までがちょうどいいバランスです。

柿の成分がもたらす体の変化

柿に含まれる栄養素は、血液検査の数値にも関係があります。

  • カリウム: 血圧コントロール・ナトリウム排泄
  • β-カロテン: 抗酸化作用・細胞の老化予防
  • ビタミンC: コラーゲン生成を促進・免疫サポート

柿1個で1日のビタミンC推奨量の約7割が摂れるほど。
そのため、風邪予防や美肌ケアにも最適です。

季節の変わり目に体調を崩しやすい方は、
朝食の果物として取り入れるのがおすすめです。

食べ方の工夫で“薬膳力”アップ

食べ方期待できる効果
冷やさず常温で胃腸を冷やさず吸収力UP
生姜やシナモンと一緒に体を温める作用をプラス
干し柿+ナッツ血糖値の上昇を緩やかに
柿の白和えタンパク質とビタミンCの相乗効果

また、熟しすぎた柿はスムージーやヨーグルトに混ぜると
自然な甘みが出て、砂糖なしでも満足感があります。

食べすぎには注意を

柿は体を冷やす性質があるため、
冷え性の方や、胃腸が弱い方は1日1個までが目安。
また、タンニンの摂りすぎは鉄分の吸収を妨げるため、
貧血気味の方は控えめにしましょう。

薬膳の考え方では、「どんな食材も“量とバランス”が大切」。
季節と体質に合わせて、ちょうどよく取り入れるのがコツです。

まとめ:柿は“秋の天然サプリメント”

  • 血液をきれいにし、むくみをとる
  • 腸を整え、肌を美しく保つ
  • ビタミンCとポリフェノールでアンチエイジング

柿はまさに、自然がくれた「秋の薬膳」。
旬のものを旬のうちにいただくことこそ、最高の美容と健康法です。

冷えすぎを防ぐために、温かいお茶と一緒に食べるのもおすすめ。
甘くて優しい味が、心と体を整えてくれます🍂

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検査技師の薬膳マイスター ともか
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臨床検査技師・薬膳マイスター
臨床検査技師としての経験を活かし、体のデータや体質から不調の原因を読み解き、日常に取り入れやすい薬膳や漢方の知識をお届けしています。 忙しい女性や体調に悩む方に、「おうちでできるやさしい養生」のヒントを発信中。
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