食材と体調

”数値は悪くないのにだるい?”貧血ぎみと言われた女性の薬膳ケア

kensa-yakuzen

「ヘモグロビンが少し低いですね」「貧血傾向があります」と言われたことはありませんか?
数字を見てもピンと来ないし、すぐに体調が悪くなるわけでもない…。
でも、なんだか不安になりますよね。

貧血ってどんな状態?

血液の中の赤血球やヘモグロビンが少ない状態を「貧血」と呼びます。
簡単に言うと、酸素を運ぶ力が足りない状態です。
そのため、こんな症状が出やすくなります。

  • 朝からだるい、疲れやすい
  • 立ちくらみやめまい
  • 顔色や唇の色が少し青白い

特に30〜40代の女性は、月経や出産の影響で鉄分が不足しやすく、健康診断で「貧血ぎみ」と言われることが増えます。

東洋医学で見る「数値は悪くないが貧血っぽい」状態

1. 気血両虚(きけつりょうきょ)

  • 検査値ではヘモグロビンも赤血球数も基準内なのに、
    「だるい」「めまい」「顔色が悪い」「爪が割れやすい」など貧血様症状が出るときに考えます。
  • 気(エネルギー)血(栄養を運ぶもの) がどちらも不足している状態。

👉 特徴

  • 疲れやすい、息切れしやすい
  • 食欲があまりない
  • 月経が少ない、または遅れがち
  • 爪や髪が弱い

2. 脾胃虚弱(ひいきょじゃく)

  • 食べ物を「気」と「血」に変える胃腸の力(=脾胃)が弱っているため、
    充分な栄養を取り込めていない状態。
  • 数値はまだ落ちていないけれど、体感として「なんとなく貧血っぽい」ことがあります。

👉 特徴

  • 食後に眠くなる、胃もたれしやすい
  • 下痢や軟便が続く
  • 顔色がくすんで元気がない感じ

3. 肝血不足(かんけつぶそく)

  • 東洋医学では「肝は血を蔵す」と言われ、血の貯蔵庫のような役割を担います。
    夜ふかしやストレスで肝の働きが乱れると、血をうまく蓄えられず、
    数値は正常でも「目のかすみ」「立ちくらみ」などが出やすくなります。

👉 特徴

  • 目がかすむ、目が乾く
  • 爪が割れやすい・薄い・スジが入る
  • 生理周期が不安定

検査技師目線の基準値

健康診断では主に ヘモグロビン(Hb) の値を見ます。
おおよその基準値はこんな感じです。

判定ヘモグロビン値(女性)コメント
正常12.0 g/dL 以上基本的に問題なし
軽度貧血11.0~11.9 g/dL食事を見直すサイン
中等度以下11.0 g/dL 未満医師の診察や治療が必要なことも

「貧血ぎみ」と言われるのは、11.0〜11.9 g/dLあたりが多いです。

薬膳で整える、やさしいケア

薬膳では「血を補う」「巡らせる」食材を取り入れることが大切と考えます。
日々の食事で次のような食材を意識してみましょう。

  • なつめ(大棗):血を補い、疲れやすさを改善
  • 黒きくらげ:鉄分豊富で、血の巡りをよくする
  • ほうれん草:日常で取り入れやすい鉄分源
  • 黒ごま:血を養い、体に潤いを与える

貧血改善レシピ

🥬 ほうれん草と黒きくらげの炒め物

【材料】(2人分)

所要時間:約20分(実働は約10分)

  • ほうれん草 … 1束(約200g)
  • 乾燥黒きくらげ … 5〜6g
    (水で戻すと約30g)
  • にんにく … 1片(みじん切り)
  • ごま油 … 大さじ1
  • 醤油 … 小さじ2
  • オイスターソース … 小さじ1
  • 酒 … 大さじ1
  • 塩・こしょう … 少々
  • 白いりごま(仕上げ用) … 適量

【下ごしらえ】

  1. 黒きくらげを戻す
     乾燥黒きくらげを水につけ、約15〜20分戻してから食べやすい大きさに切る。
  2. ほうれん草を切る
     ほうれん草はよく洗い、4〜5cmの長さに切る。

【作り方】

  1. フライパンにごま油を熱し、にんにくを入れて香りが立つまで弱火で炒める。
  2. 黒きくらげを加え、中火で1〜2分ほど炒める。
  3. ほうれん草を加え、全体がしんなりするまでさっと炒める。
  4. 酒を回し入れ、醤油・オイスターソースを加えて味を調える。
  5. 塩・こしょうで味をととのえ、仕上げに白ごまを振る。

🍵 なつめ茶(なつめを煮出したお茶)

【材料】(マグカップ約2~3杯分)

所要時間:約20分

  • 乾燥なつめ(大棗)… 5~6粒
    (輪切りや刻まれているものでもOK)
  • 水 … 500ml
  • はちみつ(お好みで)… 小さじ1~2

【作り方】

  1. なつめを軽く洗う
     乾燥なつめをさっと水洗いして、表面のホコリを落とす。
  2. 水から煮出す
     小鍋に水となつめを入れ、中火で沸騰させる。
  3. 弱火でじっくり煮る
     沸騰したら弱火にし、フタをして 15〜20分 煮出す。
     なつめの色や成分がゆっくりとお湯に移ります。
  4. カップに注ぐ
     温かいうちにカップへ。お好みで はちみつ を加えると飲みやすくなります。

まとめ

健康診断の「貧血ぎみ」は、すぐに病気になるという意味ではありません。
けれど、体が少し疲れているサインと考えて、今のうちに食事や生活を見直すことが大切です。
薬膳を取り入れて、ゆっくりと体を整えていきましょうね。

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検査技師の薬膳マイスター ともか
検査技師の薬膳マイスター ともか
臨床検査技師・薬膳マイスター
臨床検査技師としての経験を活かし、体のデータや体質から不調の原因を読み解き、日常に取り入れやすい薬膳や漢方の知識をお届けしています。 忙しい女性や体調に悩む方に、「おうちでできるやさしい養生」のヒントを発信中。
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