季節の薬膳

「冷えによる夏バテ!女性が気を付ける”脾陽虚”とは 」

kensa-yakuzen

夕方になるとグッタリ…それ、脾陽虚かも?

クーラーの効いたオフィス、冷たいドリンク、シャワーだけの入浴…。
夏は一見「暑さ対策」が大事に思えますが、実は**“内側の冷え”が原因でだるさや疲れを引き起こす**ことが少なくありません。

特に30〜40代の女性に多いのが、「冷えだるタイプ(脾陽虚)」。
日中は元気でも、夕方になると一気に疲れが出たり、むくみや食欲不振、下痢や軟便になりやすいのが特徴です。

これは、内臓(特に「脾」=胃腸系)が冷えて消化力が落ちることで、体全体のエネルギーが不足してしまう状態。
暑さ対策のつもりが、かえって不調を招いていることも…。


✅ 「脾(ひ)」とは?(東洋医学の意味)

西洋医学の「脾臓(ひぞう)」とは違い、
東洋医学の「脾(ひ)」は“胃腸機能全般”を指す臓腑のことです。

🔹脾(ひ)の主な働き

働き解説
飲食物を消化・吸収して、エネルギー(気・血)に変える=「脾は運化(うんか)を主る」と表現されます
水分の巡りを管理する(むくみの調整)体内の水分バランスを保つ役割もあります
血を漏れないようにする(血を内側に保つ)血管内に血を保持する力にも関係します
四肢(手足)を養う脾の元気が四肢にエネルギーを送ります

👉つまり、**“胃腸・消化・代謝・水分調整”を担う「消化系の司令塔」**です。


脾陽虚チェック ― あなたはいくつ当てはまる?

以下のような症状が続いていませんか?
☑ 冷たいものをよく飲む
☑ 食後にすぐ眠くなる
☑ 夕方にグッタリして何もしたくない
☑ 手足やお腹が冷たい
☑ お腹を壊しやすい
☑ 甘いものやパンが好き(でも太りやすい)

これらはすべて「脾陽虚」タイプのサイン。
夏の湿気や冷房にさらされて、**“内臓が冷えてエネルギー不足”**になっている可能性があります。


薬膳で“冷えだる”対策 ― 温める食材がカギ!

薬膳では、脾(胃腸)を温め、消化力を助ける食材を取り入れることが効果的です。

おすすめ食材:

  • 生姜(しょうが):冷えの改善+消化促進
  • 山芋:エネルギー補給と胃腸のサポート
  • なつめ:胃腸を養い、元気を回復
  • カボチャ:甘みがあり、脾を補う
  • 黒ごま:体力アップ+冷え改善

🍵おすすめレシピ例
「なつめと生姜の薬膳スープ」
具材を煮るだけでOK。疲れた日の夕食にぴったり。


ライフスタイルも見直して“内側からポカポカ”へ

食事とあわせて、次のような習慣も意識してみましょう。

  • シャワーで済ませず、ぬるめの湯に10分浸かる
  • 冷房の直風を避け、薄手の腹巻きやレッグウォーマーで保温
  • 冷たい飲み物は控え、白湯や常温のお茶に切り替える
  • 寝る前に足湯をするとぐっすり眠れる

こうした小さな“温活”の積み重ねが、だるさ・疲れの根本改善につながります。


📝まとめ

夏バテと思っていた不調、じつは**「内臓の冷え(脾陽虚)」**が原因かもしれません。
体の内側から温め、胃腸をいたわることで、夏をもっとラクに、元気に過ごせるはず。
薬膳の力を借りて、“冷えだる”を卒業しましょう。

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検査技師の薬膳マイスター ともか
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臨床検査技師・薬膳マイスター
臨床検査技師としての経験を活かし、体のデータや体質から不調の原因を読み解き、日常に取り入れやすい薬膳や漢方の知識をお届けしています。 忙しい女性や体調に悩む方に、「おうちでできるやさしい養生」のヒントを発信中。
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